この恋シークレット   ~アイドルと運命の出逢いをしました~
「覚えていただいていますか?その節は、お世話になりました」

「はあ…」葵の中では今更何?と疑問しかわかない。

「本日お電話させていただいたのは、命の恩人である結城さんに、蒼本人がお礼を申し上げていないと大変気にしておりまして、一度直接お会いしたいと申しております」

「は?…あのぉ~お気持ちだけで充分です」

「それでは、本人の気が済みません」

「そうは言われましても。こちらも、もう普通に生活しておりますので」断り続ける葵。

「一度でいいんです」と引き下がらない原田。

「本当に、結構です」

「そこを何とか…蒼が直接結城さんの所に押しかけ騒ぎになっても困りますし…」この際、手段を選んでいられない原田は、断れない様な言い方をする。お礼をする側が強引だ。

「はぁ~お断りする選択肢はないようですね」

「すみません」

「どうしたらいいですか?」

「出来れば、目立たない様に事務所内で会っていただきたいので、お迎えに上がります」

「…いえ。場所と日時を教えていただけたら、自分で行きます」

場所と日時をこちらの都合で伝え、蒼の為とはいえ、こんなに拒否の姿勢を崩さない葵に申し訳ない気持ちになる原田だった。


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