キミの世界で一番嫌いな人。

1枚の宝物

秋人side




とぼとぼと歩いてくるそいつ。

はあ、と、ため息を吐きながら教室に入ってくる朝。



「はあ…」



授業中もこうしてため息。
ほんと、迷惑極まりない。

夏休み明けからずっとこの調子だ。


だから俺は、ちょうどそいつが来たときにスッと足を出した。


引っかからないでしょ、こんなベタなの。



「わっ…!いった…!!」



すると綺麗に引っかかって、つまずいて机の角に額を打ったチビ。

さすがとしか言い様がないほどの馬鹿だ。


こんなのが騎馬戦1位?
誰のおかげ?

俺だよね。



「なにすんだよアッキー!!」


「いい目覚ましになっただろ?」


「もう覚めてるよ!!」



というか、やっぱりこいつ。

夏休みに祭りで出会った女の子にそっくりだ。


俺もまさかと思ったけど。

なにより俺が女に自分から連絡先を聞くとか、ありえない。



「なにお前。もしかして恋でもした?」


「しっ、してないよっ…!」


「え、図星?」



涙目になりながら机に突っ伏すチビ。



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