御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「俺はね。沙穂ちゃんのそういうところを尊敬しているんだ」

「え?」

「俺にはできなかったから。運命を受け入れて兄のサポートに徹するのは、どうしても無理だった。投げ出さず必死に頑張ってる沙穂ちゃんを誇りに思う」

そんな。透さんは自分ひとりで羽ばたける才能がある素晴らしい人だから。私みたいに最初からあきらめているのとは違う。
首を横に振り、そう伝えた。

私だって本当は透さんみたいになりたいよ。でも自分の意志で歩く勇気が出ない。

「でも。俺は沙穂ちゃんを連れ出したい。きみだけを大事にしたいんだ」

透さん……。

愛にあふれた言葉に頬が熱くなる。
今まで誰も、自分でさえも、私を一番にしてくれる人はいなかった。美砂の存在があっての私だったのに、そこから私だけを連れ出してくれるというの?

そんな幸せが許される?

「沙穂ちゃんは悩まなくていい。約束するよ、きみの不安は全部俺が解決してあげる。言ったろう、美砂のこともちゃんと考えてるって」
< 119 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop