御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
いや、俺が悪い。七年も迷って時間を置けばこうなる。

あのお見合いで「手紙を書いていたのはきみだろう?」と話せば簡単だと思っていた。が、どうやらそうではないらしい。

昔からうすうす分かってはいたが、沙穂ちゃんは美砂を最優先に考える癖がある。
それが彼女が感じている世界の狭さの正体なのに、まだ自分で気づけていない。それに、気づいたところでどうにもできないだろう。一朝一夕で直るものじゃない。

俺との文通をやめた理由も今ならよく分かる。
沙穂ちゃんは手紙で姉と自分を混同していた。そして俺の好意を受け、戸惑ったはず。

今の沙穂ちゃんは、たとえ俺を好いてくれたとしても、美砂の幸せを差し置いて付き合ってくれるとは思えない。

そう簡単なものじゃない。自分の生き方を変えるというのは。
少しずつ問題を解決していくしかない。
本当に、少しずつ……。
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