それからさらに一週間透さんの家で暮らし、部屋の勝手にはすっかり慣れてきた。
おやすみのキスは、あれっきりないけど。

彼はクライアントを訪問する以外は在宅ワークに切り替えており、仕事を終えた夕方には一緒に食事をとれる。
その代わり、彼は勤務時間後も休日も関係なく、基本的にPCと向き合ってお仕事をしていた。

今までは契約している家政婦さんに料理の作り置きから掃除洗濯まですべて外注していたようだけど、残業の少ない私が家にいるのだからと家事を申し出て、来る日を減らしてもらった。

今日は土曜日。
週休二日制の私はしっかりお休みだが、透さんはうちのプロジェクトのほかにもいくつか抱えているようで忙しそうだ。

「ごめんね。今日はウェブ会議が数件入っているから、うるさくするかも。書斎にいてもいいかな」

在宅なのに朝からスーツに着替えた透さんが申し訳なさそうにリビングへやってきた。

いつも着替えるときは別々だから、ネクタイを結びながら話す彼にドキッとする。

「もちろんです」

私はコーヒーを用意しながらうなずくが、少し疑問が残った。
使われていないという書斎には物がなく、快適とはいえない。透さんは普段リビングで仕事をしているし、今日も本当はその方がやりやすいのではないだろうか。
私がいるから気を遣ってくれているのかな。