懐妊一夜~赤ちゃんを宿したら極上御曹司の盲愛が止まりません~
「さすがにそのまま帰ることは、お相手の女性にもご家族にも失礼だと思い、食事をしながら軽く話をした。そしたら父に、あとはお相手の女性とふたりでゆっくり話しなさいと言われ、ふたりで部屋を出たんだ」

「そうだったんですね」

「頑固な父だから、そこで逆らっても面倒だと思いお相手とホテルを出て、そして車で少し話をした。そのときに彼女に俺のありのままの気持ちを伝えたよ」

「ありのままの気持ち?」

「ああ。俺には今、大切に想う人がいてその人以外を愛することは考えられないし、この見合い話は受けるつもりはないと。彼女はそれを聞いて応援すると言ってくれた。そしてそのまま彼女を家に送り届けた。それがすべてだ」

「私……全部誤解してたんですね」

「誤解?」

結斗さんの話を聞いて結斗さんを疑ってしまった自分に嫌悪感を覚えた。

「……実は今日、ホテル前で結斗さんとお相手の方が一緒にいるのを見かけたんです」

「そうだったのか」

「はい。会社で結斗さんの婚約の話が噂になっていたこともあって。私、ふたりが一緒にいるところを見てひどく動揺してしまい、結斗さんが私を大切にしてくれてたことも全部嘘だったんじゃないかと疑心暗鬼になってしまいました。だからアパートの前であんな酷い態度を取ってしまったんです。本当にごめんなさい」

結斗さんに向かって深く頭を下げた。
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