夜空に見るは灰色の瞳
2 全ては夢か現実か
「――ないさん?か――いさーん。――――叶井さん!」


ハッと我に返った瞬間、顔の前でひらひらと振られている手の平が目に入った。
そしてその手の平越しに、こちらを見つめる三永ちゃんの可愛らしい顔も。


「……あっ、ごめん三永ちゃん。どうかした?」

「それはこっちの台詞です。どうしたんですか?ぼーっとして。はい、お水とおしぼりです」

「ありがとう。……ちょっと、寝不足気味で」


職場内にある休憩室と食堂が一緒になった部屋の中のテーブルの一つ、二人掛けのその席で、苦笑する私の向かい側に腰を下ろしながら、三永ちゃんが首を傾げる。


「寝不足ですか。言われてみれば、目の下に薄っすらクマがありますもんね」


そう指摘されて、思わず目の下を触る。


「大丈夫ですよ。よーく見ないと気が付きませんし、寝不足だという情報がなければもっと気付かないと思います。でもどうしても気になるなら、後でコンシーラーお貸ししましょうか?」

「……ありがとう。でも、目立たないならいいんだ」


ホッとしつつ、三永ちゃんが持って来てくれた水で一息つく。
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