二人の距離~やさしい愛にふれて~
理花は温かいお粥を食べながら気づかないうちに涙が流れていた。その姿を見て恭吾は優しく微笑むと自分もおにぎりを食べ始める。

二人の関係に名前はなかったけど、一緒にいることで胸がくすぐったいような幸せを互いに感じていた。

その夜、不思議と理花は吐く事なく、お粥と少しのお惣菜を食べることができた。

「今日はね、お風呂掃除と洗濯したよ。恭ちゃんお風呂入る?」

「あぁ、一緒に入ろう。また洗ってやるよ。」

恭吾が答えると理花はその言葉に現実に引き戻された。

「い、いいよ…汚いし…」

「別に誰かのセーエキ付けてるわけじゃないだろ?昨日キレイに洗ったし。」

「そうだけど…私自身が汚いから…」 

「なんだよそれっ、意味わかんねぇけど汚くねぇよ。」

理花の手は小刻みに震えており、それに気づいた恭吾は自分に引き寄せ頭を撫でた。
しばらく理花は恭吾にしがみつくようにくっついていた。

二人は一緒にシャワーをかかり嫌がる理花の身体を恭吾は無理やり洗った。
それから後ろから抱きしめるようにして二人で風呂に浸かると、やはり恭吾はやや強引に理花の身体を拭き、抱きしめながらベッドで一緒に眠った。
お互いの体温は心地よく、二人はすぐに寝息を立てていた。

翌日は2限と3限だけ講義がある恭吾は朝ゆっくりして理花の家を出た。

「昼には戻るよ。」

そう言うとチュッと理花にキスをして大学へ向かった。
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