二人の距離～やさしい愛にふれて～
バツの悪そうな顔で呟くように理花は答えた。

「そっか、でも今はあんまり酔ってなさそうだな。」

恭吾はコンビニでおにぎりなど買ってきておりローテーブルに広げた。

「沢山…恭ちゃん全部食べれるの？」

理花は恭吾が買ってきたおにぎりやパン、レトルトの惣菜やおでんを見て驚いた。

「２人で食べるんだよ。鍋あっただろ？おにぎりだと吐くならお粥っぽいのは？」

「わからない…パンはたまに食べるけど吐かないこともあるよ」

ニコニコ笑顔を隠せない理花の気分は高揚していた。朝、恭吾が大学に出てから戻って来るまで家から一歩も出ずにソワソワとしていたのだ。
本当にこの家に戻って来てくれたことが嬉しくて今までの恐ろしい記憶も忘れてはしゃいでいた。

恭吾は梅のおにぎりのパッケージを丁寧に開くと、中から梅を取り出しお米だけ小鍋に入れ水と一緒に火にかけた。
すぐにお米はお粥っぽくなり器に注ぐと、梅と海苔をちぎって乗せた。

理花はまさかおにぎりからお粥が出来上がるなんて思わずに感心して恭吾を見つめていた。

「さぁ、食うぞ。とりあえず理花はこれなっ。」

恭吾はお粥を理花に差し出すと満面の笑顔でそれを受け取った。

「ゆっくり食えよ。」

恭吾は理花の笑顔を見て今すぐ抱きしめたい衝動を押さえ、くしゃっと頭を撫でた。
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