二人の距離~やさしい愛にふれて~
「ごめん…だって俺、お前の連絡先知らねぇし…マジでごめん。」

恭吾は理花の涙を見てうろたえながら言い訳をする。

「うっ…うぅ…」

言葉が出ずに声を上げて泣き始めた理花を恭吾は優しく引き寄せて抱きしめる。

「ごめん…心配してたんだろ?悪かった…」

優しく頭を撫でながら理花の髪がきちんとまとめられていることに気づく。
いつもしているアルコールの臭いもしない。

「俺のこと待っててくれたんだな。ごめん…。」

理花は恭吾にしがみつくように抱きつき自分の感情を押さえきれないことに戸惑っていた。ただただ離れたくなくてぎゅっと恭吾の服を握りしめていた。

「ごめん…なっ?泣き止んでくれよ…」

「うぅ……っ…」

理花が泣きながら自分にしがみついている姿が何とも愛おしくて抱きしめる腕に力がこもる。

「理花、飯食ってないだろ?レトルトのお粥も買ってきた。」

少し間があって理花は恭吾の胸の中で頭を横に振る。

「恭ちゃんの…恭ちゃんの、作ったやつがいい…」

理花は顔を上げず消え入りそうな声で答える。

「理花、顔上げて?」

「・・・・いやっ。」

「えっ?嫌なのかよ……ねぇ、ごめんって…理花?」

恭吾は優しく、どこか甘さのある声で囁く。
それに応えるかのように理花はゆっくりとしがみついている腕の力を緩めた。
理花はどんな顔をしたらよいのかわからず胸にうずめたままでいると恭吾から無理やり上を向かされる。
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