背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
面倒臭い…… 悠麻
プルルルル…

 机の上のスマホが震えた。

 画面には、珍しく母の名が光っている。何かあったのだろうか?


 「もしもし…」


 「あっ。悠麻?」

元気そうな母の声にとりあえず安堵した。


 「ああ、どうしたんだよ」

俺は、パソコンの画面に目を向けながら答えた。


 「あのね、今週の土曜日の昼って空いている?」

  今週って、明後日じゃないか?

 「そんな急に、無理に決まっているだろ?」


 「土曜日なんだから休みじゃないの? 昼ぐらい一緒に食べられるでしょ?」


 「休みだって、仕事なんだよ。何か急な用事でもあるのか?」


 「そうなのよ……」

 なんだか、言いにくそうな声に、あんまりいい予感はしない。

 「何があるんだよ?」


「あのね…… お父さんがね、あなたにお見合いのお話を持ってきたのよ。とても素敵な方らしいのよ」


 「はあーー?」

 俺は、突拍子もない言葉に、パソコンの画面から顔を上げた。
 確かに、結婚しろとは言われていたが、今まで見合いの話など一度も無かった。

 「だから、時間取りなさいよ」


 「無茶苦茶言うなよ。だいたいなんで見合いなんて話になるんだ」


 「何で? あなた来月いくつになると思うの?」


 「三十七かな?」


 「かな? じゃないわよ!  三十七歳よ! 彼女の一人も連れてこないんだから……このままじゃ、孫の顔も見れないじゃない!」


 母親の声は、だんだんと甲高くなってくる。
 やばい雲行きだ……


 「どっちにしても、仕事で埋まってて無理だよ」


 「もう、あちら様にはお返事してあるの。何とかしなさい!おじさんにも頼んであるから、いいわね!」


 「お、おい、ちょっとっ!」

 電話は切れた。


 おじさんに頼んであるって、どういう事だ?
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