竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 ラルフに聞くと、この王宮からアリスタ国まではおよそ百キロ以上離れているという。ミレイナはあの晩、その途中で保護されたようだ。

 帰ろうにも遠すぎるし、竜人は竜化すれば空を飛べるので、アリスタ国まで道という道もない。もちろん、乗合馬車もない。そんなこんなで、ミレイナは今もここに留まっている。
 そこで、様子を見に来たラウルにお願いして仕事をもらったのだ。

 とは言え、ミレイナは素性も知れぬ迷子の人間なので、やらせて貰えることは限られている。
 例えば、今やっている庭の掃き掃除だ。
   
 集めた落ち葉などのごみをちりとりにすくい取り、袋に詰める。それを持って歩き出そうとすると、またリンダが声を掛けてきた。

「重いんじゃない? 一緒に行こうか?」
「え、本当? ありがとう」

 ミレイナは思わぬ申し出に、表情を綻ばせる。王宮の裏手にあるごみ置き場はまではかなりの距離がある。手伝ってもらえるのは、とても助かる。

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