【番外編】好きの海があふれそう
「いいの…?」

「いいのってなに? したいって言ってるのに…」



赤い顔で玖麗がちょっと怒ってる。



可愛い…。



こんなん、可愛いしか言えねえよ…。



左手を玖麗の右手に重ねて、右手で玖麗の頬に触れた。



親指で輪郭をなぞる。



心臓があり得ないくらいの音で鳴ってる。



この音は、俺の音か、玖麗の音か…。



ゆっくりと顔を近づけた。



心臓がバックバクしてるのを感じる。



玖麗がぎゅっと目をつぶる。



俺の心臓が苦しいくらいに締め付けられてる。



そのまま、玖麗の唇に俺の唇が触れた。



唇を少し離すと、潤んだ目の玖麗が上目遣いでこっちを見てる。



やっばい…。



もう一度キスした。



もっと深いやつ…してもいい?



口を少しあけて、玖麗の口の中に舌を入れた。



一瞬ちょっと驚いて体を離しかけた玖麗だけど、すぐにおとなしくなった。



受け入れてくれてる…。



しばらくキスを続けた。



「んっ…」



苦しそうにしてる玖麗。



やべ、ちょっと長かった…。



唇を離した。



玖麗は真っ赤な顔。



だけど、目をぎゅっとつぶって俺に抱きついた。



息ができないほど、心臓がぎゅんと苦しい。



たまらずに抱きしめ返した。



この愛おしい存在を、絶対に世界で一番大切にしたい。



それだけで、俺は世界一の幸せ者だ。
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