【番外編】好きの海があふれそう
「杏光さん、お腹空いてたんですか?」



一緒にお昼を食べていた後輩の子が不思議そうな顔で聞く。



あたしは曖昧に笑った。



お腹空いてるから気持ち悪かったんです…。



この気持ち悪さ…。



心当たりが。



「ごめん、ちょっと…。今日は早退する…」

「えっ、大丈夫ですか!?」



うーん、大丈夫だとは思うんだけどね。



仕事を溜めるのは気がかりだけど、とにかく今日は早退します…。



荷物を持って会社を出た。



帰宅前に、あたしはその足で家の近くの産婦人科に寄った。



「おめでとうございます、妊娠6週目です」



優しい女医さんがあたしにそう告げた。



やっぱり!



もうそろそろ二人目がいてもいいと思ってる頃だったの。



だから、その診断は本当に嬉しかった。



一人目の時からお世話になっている女医さん。



抱きしめたい気分!



でもそうする訳にはいかず、何に感謝しているのかわからないけど、精一杯の感謝を告げて病院をあとにした。



早く海琉に教えたい!!



ルンルンで病院を出た瞬間、また空腹と共に気持ち悪さが襲った。



うう…。



陽鞠のときとおなじ。



空腹時に気持ち悪くなる、食べづわりだ…。



コンビニで大量に食べ物を買った。



つわりが収まるまでしばらく、食べ続けなきゃ…。



陽鞠のお迎えの時間まで家で寝た。



迎えに行く頃の時間になって目を覚ましてから、また食べて、家を出る。



いつもより少し早いお迎えに、陽鞠は大喜び。



ん~、世界一可愛い!



「陽鞠~」

「なあにー?」

「妹か弟、できたらどうする?」

「えー?」



あたしがそう言ったら、陽鞠が両手で顔を覆って嬉しそうにした。



「お姉ちゃんだから、たくさんよしよしってするよ」
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