追放された公爵令嬢、隣国で成り上がって全てを見返す
002
ニーナ・パピクルスは最高に幸せな気分だった。

ペトラと対をなすような青く長い髪を揺らして王城内を歩く。

(まさか婚約が破棄されるだけでなく追放されるなんてねぇ!)

ニーナは長らく、ペトラのことを嫌っていた。

公爵家の令嬢でありながら、権力に興味を示さない素振りがむかつく。

それなのにもかかわらず、ちゃっかりルーク王子と婚約したのもむかつく。

2人の婚約が「真実の愛によるもの」などと言われているのもむかつく。

それになにより、自分など眼中にないと言わんばかりの態度がむかつく。

――早い話が嫉妬だ。

ニーナはペトラに嫉妬していた。

(ペトラが消えた今、ルーク様は私のモノ!)

ニーナの容姿は、ペトラに劣らぬ美しさ。

ペトラとニーナのことを「王国の二大美女」と呼ぶ者も多い。

ペトラが消えた今、王国の美女と言えばニーナしかいなかった。
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