追放された公爵令嬢、隣国で成り上がって全てを見返す
「ルーク様!」

ニーナは、城内にあるルークの私室を訪れた。

「ああ、ニーナか、どうした……?」

ルークの顔には疲労の色が浮かんでいる。

ペトラと関係を断ったことに深く傷ついていた。

ルークにとって、ペトラは最愛の女性だった。

この女の為であれば、自分は全てを差し出せると思った。

だからこそ、彼女の不貞行為を許すことができなかった。

「今晩、お食事にでもいきませんか?」

ニーナは満面な笑みで誘う。

彼女の想定するルークの回答は、「いいよ」か「分かった」の二択。

つまり、断られることはない、と踏んでいたのだ。

実際は違った。

「悪いがそんな気にはなれない。大事な女性を失ったばかりなんだ」

ニーナは虚を突かれる思いがした。

それでも、彼女は諦めなかった。

「ルーク様、それほど気に病むことはありませんわ。不貞行為を働いたペトラが悪いのです。どれだけ表面を取り繕ったとしても、不貞行為を働いたということが真実なのです。そんな女を思って心を痛める必要はありませんわ」

「そんなこと分かっているさ。それでも私はペトラを愛していたのだ。今でもあれはなにかの間違いだったではないか、と思っている。それほどまでに愛していたのだ。たしかにペトラは私の思っていた女性ではなかった。だからといって、今すぐに他の女性と食事をしようという気にはならぬ」
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