【完】爽斗くんのいじわるなところ。

お隣さん

あたしの家はマンションの7階。


お隣のベランダとの境界にある仕切り板には
注意書きがしてあった。


【非常の際は、ここを破って、隣戸へ避難できます。】


この文字に気づいた日、



お隣の爽斗(さやと)くんは「莉愛、そこ邪魔。ちょっと下がってて」と言ってから


バリーンと音をたてて蹴破った。


ぽっかりとあいた穴の向こうで


爽斗(さやと)くんは言った。



「莉愛のとこ行くのにいちいち玄関通るのめんどくさいし、ここ通路ね」



呆然と見ていたあたしの頬が緩んでいく。



「だれにも言うなよ。ふたりの秘密だから」



その数秒後、お母さんにバレてしまってこっぴどく叱られてしまったけど


その抜け穴は今も、使われている。


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