今日から不良王子と同居します。

ばあやの望み

明日香ちゃんとの通話を終わらせたちょうどその時、車のエンジン音がした。


2階の私の部屋の窓から下を見たら、直政くんの車が邸を出ていくところだった。


あ、いけない。明日香ちゃんとの電話に夢中になっている間に、直政くんが帰ってしまうなんて。


もう少し、玲生君くんの件で説得しようと思っていたのに。


ばあやと直政くんはいったいどんな話をしたんだろう。


少しでも早く知りたくて急いで、1階へ降りて行こうとしたらコンコンとドアがノックされた。


「はい」


「お嬢様、家庭教師の先生が来られましたよ」


「ばあや」


タイミングよくばあやが来てくれた。


急いでばあやに歩み寄ると、直政くんとどんな話をしていたのかを尋ねた。


「直政さまとですか？ああそれならご安心ください。
少々誤解をされていたようですけどばあやがビシッと言っておきましたから」


「え？バシッと？」


「ええ、直政様はひどく興奮されていて、玲生お坊ちゃんを一刻も早くこの家から出て行ってもらうようにとおっしゃってて」

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