今日から不良王子と同居します。
やっぱりそうか。


直政くんはばあやにそうやって指図したんだ。


「それで、ばあやはなんて答えたの?」


「ええ、勿論そんなことはできませんときっぱりお断りしましたよ」


なぜか誇らしげにしている。


「いくら婚約者といえど、我が大河内家のことにまで口出しされるのはまだ早いですからね。
まあお若い直政さんのこと、玲生お坊ちゃんのことで嫉妬されているんでしょうかね」


にっこり笑う余裕の貫禄のばあや。


「ですが、ご心配には及びません。
お嬢様に玲生お坊ちゃんを近づけないように細心の注意をしていますからと説き伏せておきましたよ。
まだ、少し納得のいかない顔をされてましたけれど、今日のところはお引き取りいただきました」


「そ、そうなんだ」


よかった、さすがの直政くんでも、ばあやにはかなわなかったみたい。


とりあえず今日はお父様に連絡するところまではいかなかったんだな。


それもこれも、ばあやのおかげ。


「ばあや、ありがとう」

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