揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
⑦
「あのね。」
そして翌日の会社帰り、鈴と達也は待ち合わせて、夕飯を共にした。部署が違う2人は、社内では相変わらず、あまり顔を合わすこともなく、退社時間もバラバラだった。
付き合い始めた当初は、早く終わった方が待っていて、毎日のようにデートをしたり、一緒に帰ったりしていたが、最近はそのペースも落ち着き、会社帰りに会うことは少なくなり、もっばら週末のデートがメインになっていた。
でも、今日は梨乃に発破をかけられたこともあり、鈴が誘ったのだ。
食事も終わり、食後のコーヒーを楽しんでいた2人だが、頃合いを見て、鈴が切り出した。
「うん、なんだい?」
自分の言葉に、いつものように優しく応じてくれる達也の姿に、改めてドキッとする鈴。まして、これから切り出そうとしている内容を考えると、余計にドキドキが増して来る。
「私達、そろそろ付き合い始めてから、1年だよね。」
「そうか、そうなるな。考えてみると、早いもんだなぁ。」
達也は頷く。
「それで・・・。」
一瞬躊躇った鈴は、でも勇気を振り絞って続けた。
「なにか、記念に残ることしたいなぁって。」
「記念に残ることかぁ。なにがいいかな?」
そう尋ねる達也に
「一緒に旅行・・・なんてどうかな?」
なんとか普通に言おうとしたが、やはり無理。顔が赤くなっているのが、自分でもハッキリわかったが、上目遣いで恐る恐る、鈴は言った。
瞬間、また空気が固まる。達也が息を呑んだように自分を見ているのを感じて
(女からそんなこと言うなんて、やっぱり引かれちゃった・・・。)
途端に後悔に沈む鈴。ただ一度、発してしまった言葉を取り消す術はなく、思わず俯く。
一方の達也の思いは、違っていた。
(また鈴に言わせてしまった・・・。)
自分達の関係を進める為に、いつも勇気を振り絞っているのは鈴で、結局俺はその鈴の気持ちに、いつも甘えているだけじゃないか・・・。
自分で自分が情けなくなった達也は、恥ずかしそうに俯いている鈴に
「そうだね。」
と力強く頷いてみせた。
「達也さん。」
その達也の返事に、鈴の表情はパッと明るくなる。
「是非そうしようよ。9月に連休があるから、そこで行こう。場所は・・・どこか海の見えるところなんて、どう?」
「うん。達也さん、ありがとう!」
鈴は、一転して、満面の笑みになった。
そして翌日の会社帰り、鈴と達也は待ち合わせて、夕飯を共にした。部署が違う2人は、社内では相変わらず、あまり顔を合わすこともなく、退社時間もバラバラだった。
付き合い始めた当初は、早く終わった方が待っていて、毎日のようにデートをしたり、一緒に帰ったりしていたが、最近はそのペースも落ち着き、会社帰りに会うことは少なくなり、もっばら週末のデートがメインになっていた。
でも、今日は梨乃に発破をかけられたこともあり、鈴が誘ったのだ。
食事も終わり、食後のコーヒーを楽しんでいた2人だが、頃合いを見て、鈴が切り出した。
「うん、なんだい?」
自分の言葉に、いつものように優しく応じてくれる達也の姿に、改めてドキッとする鈴。まして、これから切り出そうとしている内容を考えると、余計にドキドキが増して来る。
「私達、そろそろ付き合い始めてから、1年だよね。」
「そうか、そうなるな。考えてみると、早いもんだなぁ。」
達也は頷く。
「それで・・・。」
一瞬躊躇った鈴は、でも勇気を振り絞って続けた。
「なにか、記念に残ることしたいなぁって。」
「記念に残ることかぁ。なにがいいかな?」
そう尋ねる達也に
「一緒に旅行・・・なんてどうかな?」
なんとか普通に言おうとしたが、やはり無理。顔が赤くなっているのが、自分でもハッキリわかったが、上目遣いで恐る恐る、鈴は言った。
瞬間、また空気が固まる。達也が息を呑んだように自分を見ているのを感じて
(女からそんなこと言うなんて、やっぱり引かれちゃった・・・。)
途端に後悔に沈む鈴。ただ一度、発してしまった言葉を取り消す術はなく、思わず俯く。
一方の達也の思いは、違っていた。
(また鈴に言わせてしまった・・・。)
自分達の関係を進める為に、いつも勇気を振り絞っているのは鈴で、結局俺はその鈴の気持ちに、いつも甘えているだけじゃないか・・・。
自分で自分が情けなくなった達也は、恥ずかしそうに俯いている鈴に
「そうだね。」
と力強く頷いてみせた。
「達也さん。」
その達也の返事に、鈴の表情はパッと明るくなる。
「是非そうしようよ。9月に連休があるから、そこで行こう。場所は・・・どこか海の見えるところなんて、どう?」
「うん。達也さん、ありがとう!」
鈴は、一転して、満面の笑みになった。