君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
7
「花菜っぺ!」




呼ばれて振り返ると、走り寄ってくる女の子。





「久しぶりだね、映ちゃん。」


「最近一緒の講義がなかったしね。」





映ちゃんが隣に来ると、私は歩くのを再開した。





「で?今日はどうしたの?」





チラと映ちゃんを見ながら聞く。





「あのね?花菜っぺも行かないかなぁって。」


「何に?」





…私の周りって、主語がない人が多いな…


聞くと、映ちゃんは手帳から何かを取り出す。





「当たったの!「R」のライブチケット!」


「R(アール)?何それ。」


「え!?花菜っぺ、知らないの?今、超絶人気なインディーズバンドだよ?」


「知らない。」




首を横に振ると、映ちゃんはハアァと盛大に溜め息を吐いた。


…そんなにダメなこと、言ったかしら…?
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