転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
思わず彼の外套を掴んで問い詰めてしまう。あれほどの魔力があって使いこなせるのならば、わざわざ見習いになって学ぶことなど何もないはずだ。昔のディーのように同年代でありながら指導側に回ることも、飛び級で魔法宮廷官になることだって可能だろう。

「なんでって……、別にいいだろ。魔力があって十六歳なら見習い条件は満たしてるぞ」

「だって大人並みに魔法が使えるのに、わざわざ教わることなんてなくない!?」

「うるせーな、社会勉強ってやつだよ。俺様は謙虚で勤勉だからな。教わる立場ってのも経験しとこうと思って」

「だったらなんで言ってくれなかったの!? 私が見習いになること知ってたくせに、レヴはそんなことひと言も言わなかったじゃん!」

「お前が驚くかなーと思って」

悪戯が成功したとばかりにシシシと笑うレグに、サマラは「驚くに決まってるでしょ!」と手をジタバタさせて怒る。それを見たレヴが「その顔が見たかった」とますます笑うものだから、サマラはもう気持ちの持っていきようがない。

レヴはいつもそうだ。サマラをからかって軽口ばかり叩く。サマラが怒って言い返すとムキになって言い返してケンカになるくせに、またすぐにからかってくる。
けれど、意地悪なくせに困っていると必ず助けてくれるレヴのことが、サマラはちっとも嫌いじゃなかった。

「とゆーわけで、俺も見習い一年生だ。よろしくな、見習いちゃん」

軽い調子で言うレヴに、サマラはため息をひとつ吐いて気持ちを落ち着かせると、おとなしく隣の席に座った。

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