紅に染まる〜Lies or truth〜
仕事



冬休みに入るとすぐ退院してきた颯は
三崎の部屋に住むと踏んだのに
何故か私の部屋に戻ってきた


「足手まとい」


「煩せぇ!ここがいい」


よく分からない理由を並べて
戻ってきた颯は

実は病院を逃げ出しただけで
骨折も完治していない


「役に立たなければ木村に迎えに来てもらうから」


そんな約束をして
また同居が始まった

ペースを崩されると思っていたのに
ひたすら地味に私の世話をする颯

食事以外の殆どの時間を仕事部屋に籠るようになった私を心配してのことなのか?

兄からの命令で動いているかは詮索しないことにした

一日に4回鳴るメール
その4回だけは仕事部屋を出る

その時以外は颯が何をしているのか知らない

余計なお喋りもせず
天井さんからの食事を並べて
食後にコーヒーを一緒に飲む

その繰り返しでいつしか時間は流れ
三学期が始まっても学校にさえ行けない日々が
当たり前の日常になってきた頃

状勢が動いた


「佐和が死んだ」


翠龍さんからの電話より先に
情報は掴んでいた

伝令より先に颯を動かして立花の動きを封じていたし

立花一派の動向も資金も既に封じていて

繋ぎの組長一派の戯れも
呆気なく幕切れとなった



















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