御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
そして翔は、西園寺グループの本当の凄さを知る事となる。

社長室と同じフロアにある会議室。社長室と同じく重厚な扉。

東が扉を開け、公造が入る。続く遥と翔。
本来区切れる会議室が広いひとつの部屋にされ、何と100人以上の人々。西園寺グループの本社役員から子会社の社長等々、錚錚(そうそう)たるメンバーだ。

年齢層は、公造より上の者から40代位の人まで、所狭しと座ってこちらに目を向けている。異様な威圧感。翔は、手に汗握り何とか背筋を伸ばし立っている。

ところが、この場の雰囲気に似つかわしくない言葉が飛び交い始める。

「「遥ちゃん~」」「「久しぶりだなぁ」」「元気にしとったか?」「相変わらず可愛いの」

翔は、目が点になる。それはそうだろう。政財界に顔のきく、強面の老人から、テレビで注目されるような若手の西園寺グループの支社長までが揃いも揃って、遥にメロメロ。皆、目尻が垂れている。

「翔くん。遥は、皆から孫や娘の様に可愛がられている。そんな、遥が選んだ君だから皆無条件に受け入れているのじゃ。遥を裏切る事がない限りコワイ物はない」

翔は、もちろん遥を裏切るつもりもないが、ここに来て自分が選んだ女性がとんでもないご令嬢だった事を改めて実感する。

< 124 / 154 >

この作品をシェア

pagetop