御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
皆の者(みなのもの)」と公造が声を掛けると今までの雰囲気がウソの様に、会議室がピリッとした。

「新年度が今日から始まる。西園寺グループ一丸となって頑張ってくれ」

「「「「はい」」」」皆の返事が揃う。

「今日は忙しい中、皆に話があって集まってもらった。遥」

「はい。皆様、いつも西園寺グループの為に尽力下さりありがとうございます。私事(わたくしごと)ですが、この度こちらにおられます神宮寺翔さんと婚約しました事をご報告致します」

会場は、温かい拍手に包まれる。

「ありがとうございます。神宮寺翔と申します。至らぬ所が多々あると思いますが、ご指導ご鞭撻よろしくお願い致します」堂々と挨拶する翔。

(わたくし)から、更にご報告とご提案、お願いがございます」と遥の言葉に、公造は相槌し、翔は聞いていないのでハテナマークが頭を占める。

「まず、私達の婚約の件は当分ご内密にお願い致します。私達が仕事で一人前になりました暁には、発表とお式をしたいと考えております」

皆、賛同の拍手をくれる。

「次は、今後の仕事の件ですが、祖父の後を継ぐ人物は、私は翔さんだと思っております」

「エエッ!」思わず大きな声を出す翔。

「神宮寺製薬での実績、柔軟な発想、行動力等々、多方面から私が見てきた判断です。私は、そんな翔さんのサポートとして、今後の西園寺グループの発展に貢献して行けたらと考えております」

「…」翔は言葉も出ない。

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