離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「俺の両親は政略結婚でさ…愛が無かったんだ。
そんな二人の間に産まれた俺はいつも二人の顔色ばかり見ていた。
表向き、父とは仲よくやってるけど…ココロの中では男のクズだと思ってる」

「雅樹さん?」

「…だってそうだろ?母と結婚する前から・・・交際してる恋人が居たんだ…結婚してからも…二人はコソコソ会って…結局、母にバレて…母もまた…年下の男と浮気。
結局、二人は俺が七歳の時に離婚した。子供ながら…家を出て行く母を必死に止めて、父にも出て行かないように言ってと頼んだけど…父は止めなかった…それ処は、離婚した後直ぐにその女と再婚した…」
それが今の社長夫人と言うワケか…

余り、二人の仲は良くないと世良さんが言っていたけど。そう言う過去の経緯があったんだ。



「正直言うと…俺は結婚に対して明るい展望が持てないんだ…そんな俺が結婚したいと言うんだ…クズの血を引く俺がさ・・・離婚が目に浮かぶだろ?」

だから、離婚約なのかもしれない。
人当たりが良く、誰とでも仲良くなれそうな雅樹さん。
でも、それは表向き。
私は彼の素顔を見てしまった。
―――彼の秘書に就いて二年間…そんな彼を知らなかった。
他人には見せない素顔の彼を見せられると彼に対するキモチが加速していく。
「蛙の子は蛙だけど…貴方は社長とは違うと思います」

私の言葉で雅樹さんはどんよりとした空気を纏ってしまった。


「瓜の蔦に茄子はならぬとも言うけど…雅樹さんは大丈夫です」

「梓君は俺を励ましているのか?それとも貶めているのか?」

「一応、励ましたつもりです…」

「・・・でも、離婚が決まっていても…俺はその瞬間までは大切にするよ…梓」

彼との結婚生活は私にとって特別な時間なんだ…きっと。
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