身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
無防備なスイートルーム
菖悟さんと暮らし始めて三日が経った。

その間、お互い仕事が忙しく、ほとんど寝に帰るだけの日々で、ゆっくり話す時間さえなかった。

キスされたのも初日の夜だけで、私はあれから一度も彼を「高須賀さま」と呼ぶミスは犯していないし、ちょっと気抜けするくらい平穏な生活だ。

そして今日はやっと私の休みで、私は彼の出勤時間に合わせて朝食の準備をした。

厚切りパンにバターとはちみつがたっぷり染み込んだハニートーストと、ソテーしたきのこをふんだんに載せたサラダ、コンソメスープ、カットしたフルーツだ。

料理は誰がしたっていいと彼は言っていたし、時間があるときは私もしようと決めていたのだ。

「一緒に朝ごはんを食べるのは初めてだな」

ダイニングテーブルで向かい合い、菖悟さんはさわやかな笑みを浮かべた。

「そうですね。菖悟さんの好みがわからなかったので、とりあえず洋食にしてしまいましたが大丈夫でしょうか?」

「ああ、おいしそうだ」

彼の明るい返事に私はほっとした。
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