身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
射貫かれた恋心
その翌日から三日、私は家を空けた。本社で入社三年目のフォローアップ研修があったからだ。

入れ替わりで菖悟さんも国内出張が入り、私たちは一週間近くすれ違いの生活だった。

けれど今夜は私も彼も定時に退社できる予定だ。

束の間の昼休み、私は彼のスマートフォンにメールを送る。

【菖悟さんお疲れさまです。今日の晩ごはんですが、食べたいものはありますか?】

すると、すぐに返信があった。

【お疲れさま。パスタがいいな。和風のやつ。紗衣は?】

【私もパスタがいいです。じゃあ食材を買って帰るので、今夜は私が作りますね】

こちらも即座にメールを返すと、また時を置かずにスマートフォンが受信を告げる。

【それなら先に帰宅したほうが作ることにしよう】

それを見て、私が絶対先に帰宅しようと意気込んだ。

けれど午後六時半、定時に退勤できそうだと思っていると、事務所の電話が鳴った。

私が担当している松浦さまというお客さまからだった。

彼女は明日、マリヨンで結婚式と結婚披露宴を予定している。
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