その手をつかんで
キスの余韻が残る中、ホテル内にあるレストランで蓮斗さんと向き合う。触れていた唇を見ないよう、眩い夜景に目を動かす。


「きれいですね」

「そうだな。寒くなってきて、空気が澄んでいるからハッキリ見えていいね」

「この時期の夜景は、格別ですよね」


うっとりする私の前にコトンと小さい箱が置かれた。

なんだろう?

首を傾げていると、彼が開ける。


「指輪……?」

「そう、エンゲージリング。正式に婚約したからね」

「きれい……」


夜景に負けないくらいに、ひと粒のダイヤモンドが光り輝いている。すっかり目を奪われていると、箱から外された。


「はめさせて」

「はい」


テーブルの上に出した左手の薬指に、蓮斗さんが納める。

ピッタリとはまった手を微かに上げた。どの角度から見ても変わらない輝きを放っている。

素敵だ!


「気に入ってくれたかな?」

「はい、ありがとうございます!」


仕事中は身に付けられないだろうけど、休日や出掛ける時には身に付けてほしいと言われた。
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