勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

プロローグ

夏の日差しに汗ばみながら、正門を走り抜けたところで



学ラン姿の見知らぬ男の子に声をかけられた。



「あの、西園寺さん、ですよね」



「?」



「もし良かったら、今度、俺と……」



「俺と……なに?」



つぎの瞬間、ぐいっと手首をつかまれて



大きな背中に隠された。



「こいつに声かけないで」



見上げて、ドキリと心臓が飛び跳ねる。



このキレイな横顔は……。



「く、九条さん⁈」



どうしてこんなところに⁈


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