勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「ほら、い行くぞ、彩梅」



「わわっ!」



 ぐいぐいと引っ張られて、



学校からかなり離れたところに連れていかれると、



ピンっとおでこを指で弾(はじ)かれた。



「ったく、ぼーっと歩いてるから、



あんな奴(やつ)に声かけられるんだよ」



ううっ。



走ってたんだけどな。



歩いてたわけでは、ないんだけどな。



呆れている九条さんをちらりと見上げると。



「顔、真っ赤だぞ」



「そ、それは、



九条さんが私の手首をつかんでいるから……!」



「いつになったら慣れるんだよ。



いっそのこと、ここでキスでもしてみるか? 



特訓するんだろ?」



 ……ふえっ⁈ き、キス⁈


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