勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「そんなに驚かなくても。



俺たち見合い中なんだろ?」




「で、でも、私はお姉ちゃんの代理で来ただけなので!」




「代理で来たなら、ちゃんと最後まで責任とってもらうよ?」




「……はい?」




「さ、行こう」




ええっ!




なにか言わなきゃと思うのに、



九条さんのいたずらな笑顔に包まれると、



なにも考えられなくなってしまう。




甘い笑顔ひとつですべての思考を奪ってしまうなんて、



大人って、恐ろしい!





「この近くで着物で行けるところは、浅草ってところか。



浅草、行ったことある?」




「ずいぶん前に一度。で、でも」




「じゃ、決まりな」




「あっ、あの、お父さんとお母さんに」




「小学生じゃないなんだから、



タクシーのなかから連絡すれば大丈夫だろ」




楽しそうに笑う九条さんに半ば強引に連れられて、



浅草に向かった。





ど、どうしよう~~っ!





タクシーのなかから、お母さんにメッセージを送ると、



案の定、お父さんが絶句していると返事があった。



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