俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side1

今日は誰もヒマしてるヤツがいなかった。
家で勉強するのも乗り気になれず街中をぶらつき気分転換しようと出てきたら、同じ学校の後輩達に見つかってしまった。

他の奴らは『神崎せんぱーい♡』とキャーキャー騒ぐだけでいいんだが、こいつらはマジで面倒くさいだよな。
俺は年上だって言うのに俺の事を『祐世くん♡』って呼びやがる。
しかも敬語も無し。

誰もお前らに名前で呼ばれる筋合いないっての。


「祐世くん、どこ行くの?」

「別に。ちょっと気晴らし。じゃあな。」


長く捕まるのも面倒で直ぐにその場を離れようと歩き出したが、『祐世くん、一緒に遊びに行こうよー。』と後ろをついて来る。

俺はお前らの友達じゃねえだろ。

こいつらを撒くため走り出した。


「えっ、待って祐世くん、何で走るのー。」


いや、お前らといるのが嫌だからに決まってんだろうが。

横断歩道を渡ったところであいつらが信号に捕まったためかなり距離は離れたがまだ追ってきてる。『チッ、しつこいな。』拓也が通う予備校の横を通り抜けようと思った時、視界の端に一人の女の子が目に入った。


「ごめん、ちょっと助けて。」


そう言いながら柵に腰掛けていた彼女を持ち上げ目の前に立たせ柵に座り、あいつらの目につかないようにジャケットを脱ぎ、驚き声もだせずにいる彼女の腰を抱き寄せ首筋に顔を埋めた。


「祐世くんどこー?あーあ、見失っちゃった。」

「せっかく休日に会えたのにー。」


彼女を盾にし隠れた数十秒後、あいつらの声がする。


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