別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「明後日の十五時からそのお客様との打ち合わせ頼むよ」

「はい。分かりました」

手帳に予定を書き込むと作業場に戻り、予約分のケーキのバタークリームの色の調合を始めた。私が作るフラワーケーキにとって、この色の調合はとても重要な過程なのだ。

バタークリームを口金で絞り、薔薇やガーベラといった花を再現して本物の花のように仕上げいくのだが、例えば『ピンク色』の花をメインにしたいとお客様に言われても、サーモンピンクからパステルピンク、そしてスモーキーピンクなどそのお色味でだいぶ印象が変わる。

だからお客様との色の打ち合わせは、色見本を確認しながら慎重に進めていく必要があり、色味が決まってからも、その色味を再現するのには毎回苦労する。

今回のお客様の要望は、結婚式のために作ったオリジナルブリザードフラワーブーケと同じ花、色味のウェディングケーキというもの。
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