蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「てか、蓮、服が少な過ぎねぇ?」


「東美では必要無かったし」


「いつでも買えるから良いか」


「そんな、要らないよ」


「俺が買いたいの」


「大ちゃんが?」


「あぁ、好きな女に服を買って
それを脱がせて・・・」


「へ、変態っ」


「は?男はみんな変態だ」


言い切った大ちゃんはスッキリした顔をしていて

逆に文句を言う気を削がれた


「下着とか、小物は此処」


洋服の下に置かれたチェストの引き出しを開けた


「ワーーーーッッ」


仕切りの中に並ぶ下着に
慌てて引き出しを押し戻した


「なに?」


「なにって、女の子の下着だよ?
見ちゃいけないんだからっ」


「蓮のなのに?」


「大ちゃん!」


「つまんねぇ」


「モォ」


「ハイハイ、牛な」


クローゼットの中に座り込んでの
くだらないお喋りも楽しくて仕方ない


それなのに


「蓮、疲れただろ、少し寝ると良い」


そのまま抱き上げられて
部屋へ戻るとベッドの上に下された


「着替え」


「もう今日は出かけねぇから
皺になっても良いだろ」


「・・・うん」


退院の為に用意されていたスウェット素材のワンピースは
そのままパジャマにもなりそうで良かった


それより


「・・・もしかして、このベッドで
一緒に寝るとか・・・」


「もちろん一緒だ」


疑問は最後まで言う前に大ちゃんの肯定で終わった


六年前は手を繋いでお昼寝もしたけど、今は・・・

キングサイズのベッドだから
端で寝ればなんとかなる?

そんなことを思いながら潜り込むと
大ちゃんの匂いがして


その匂いに包まれると安心して
直ぐ目蓋が閉じた




□□□



「蓮、お仕置き確定な」



寝た後で『大ちゃん』呼びをした私のお仕置きが確定されたなんて



知らない










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