Romantic Mistake!
恋に落ちるメロディー






三階建てのテナントのうち、最上階の南側はいつも関係者以外は立ち入り禁止となっていたが、その理由がわかった。控え室があるこの場所から屋上庭園へ続く通路にかけて絨毯の色と天井の模様が違っており、ラグジュアリーな方々しか入ってはいけませんよ、という無言の圧力がかかっている。

パーティーに出ると決まった私はあれよあれよと言う間に控え室に連れて来られ、ドレスルームへ案内された。ここにはレンタルできる呉服店の着物からウェディングドレスと思わしきものまで、なんでも揃っている。

コーヒーをかぶっていた庶民の女はここに入っていいのだろうか。いきなり不安になったが、悩む暇はなくスタイリストさんが「さあ急ぎましょう」と私を立たせて次々に衣装をあて、同時にヘアメイクさんが私の髪に容赦なくスプレーを吹き掛け整えていく。

「くびれがあって脚が綺麗なので、着物よりドレスが似合いますね。レースの袖のある白のドレスで、ウエストのリボンはネイビーの差し色で締めましょう。このままでは寒いので毛皮のボレロを羽織ってください」

「は、はい」

姿見の前でヒョイヒョイとアイテムを付け足していくスタイリストさん。すごい、どれも目を疑うほど私に似合っている。高級感があって上品だし、お洋服を変えただけで本当にいいところのお嬢様みたいに変身できた。
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