極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
4、束の間の自由
ピピッ、ピピッ、ピピッ。
スマホのアラームが鳴る。
ベッドの中、手探りでスマホを探してアラームを解除した。
「……もう朝か」
高級ベッドで寝ているのに、やはり自分の家でないせいか疲れがよく取れない。
だって、社内一のモテ男でしかも上司の家にいるのだ。
いくら兄と思えと言われても、緊張しない訳がない。
男の人の家に泊まること自体初めてだもんね。
大学時代、友達に煩く言われて先輩とデートしたことはあっても、過去のトラウマがあって家に行き来するような仲にはならなかった。
どんなに愛し合って結婚したって、私の両親のようによそに好きな人が出来て別れる。
だったら、恋愛なんてしない方がいいし、したくない。
男の人と個人的に知り合いになるのは今まで避けてきたのに、人生ってなかなか思うようにいかない。
空き巣の犯人も捕まっていないし、優も兄に事件のことを報告してしまったものだから、結局彼の家にしばらく置いてもらうことになった。
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