極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
兄は心配してLINEをくれた。
【優をお前に紹介してよかったよ。犯人捕まるまでは絶対に優のところにいろよ。でないと、にーちゃん心配で夜も寝れない】
実の兄と自称の兄の圧力に負けた。
ただで置いてもらうのは申し訳なくていくらか部屋代を払おうとしたら、優に『必要ない』と断られた。
『だったら、この家の家事、私にやらせてください。でないと私の気がすみません』
困った末に優にそう申し出たら、彼は渋々といった様子で折れた。
『わかった。でも、無理はしなくていい』
だから、家事は私がやることにして、朝は六時に起床。
ひとりで暮らしていた時、朝食はコーンフレークかトースト焼くだけだったからもっと遅く起きていた。
自分のアパートよりも会社に近いのに朝食を作るために早起き。
流石に上司に普段のダラダラ生活は見せられないのだけれど、いつもより三十分早く起きるのは辛い。
何度も欠伸をしながら身支度を整えて、キッチンへ行く。
ここのキッチンはアイランド型で調理器具はレストランで使うような高級品だし、使い古された鍋なんて置いていない。
正にセレブの生活。
『大企業の部長クラスだと生活もこんなに違うんですね』
そんな話を優にしたら、『このマンションはじいさんが所有してるから安く借りてる』と言われた。
都心の一等地にマンション所有してるなんて相当の資産家だ。
多分優はいいところのお坊ちゃんなのだろう。
普通の人にはない風格とオーラがあって、佇まいが綺麗だし、ただそこにいるだけで絵になる。
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