崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました

3

「私はこのあと、どうなるのですか?」
「お前の処遇はこれから陛下にも相談する。なにせ、前例がない」
「そう……ですか」

 アイリスは目を伏せる。
 視界に映る毛布を包む真っ白なシーツには、放射線上に広がる縦皺ができて波打っていた。アイリスがぎゅっと握りしめているせいだ。

 今の時点ではどんな処遇になるかわからないが、それなりの覚悟が必要だろう。

「では、その処分をお待ちします」
「………。まずは怪我を治すんだ。わかったな?」
「はい」

 この期に及んで未だに自分を部下として気遣ってくれる目の前の優しさに、また涙が滲みそうになった。 

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