QUALIA ー最強総長×家出少女ー

声は震えていたけど、名前は知っている様子だ。

「一般人に総長の名前なんて、勝手に教えられるわけないじゃん」

芽郁が言った。それが上下関係が厳しい不良の世界の常識なのだろう。

けれど私は、どうしてもその総長のことが知りたかった。

知ることで、何かが変わる気がした。

「…ったく、深入りしたら死ぬからな」
「み、美桜?」
「まずいってそれ…」

美桜は私に近づくと、スマホを体の死角で隠し、辺りに人がいないことを何度も確認して、文字をうった。

『黒焔ルナ(こくえんるな)』

美桜は一瞬でその文字を消した。

「絶対に言うなよ。私が教えたって」

……ルナ。

それがもしかしたら、夢で見た男の子の名前なの?
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