響は謙太郎を唆す

さっきの担任の響への態度⋯⋯ 。

中年の一見優しそうなベテランの女性教師。
だが、一言目から初対面の響に対する疑念を隠そうともせずきつく素行を注意してきた。

私学だからだろうか⋯⋯ 。
入学までは想像もしていなかったが、教師全体が保護者の地位の高さや良い職業に無条件に従がってしまうような雰囲気を感じてしまう。

あんな大人達本当にいるんだな、
と途中からあきれてしまった。

でも学校施設は整い授業の内容もしっかりしている。


響は桜を見上げて、気持ち良い春の風を頰に感じて一息ついた。

(大丈夫!明るい未来が待ってるよ!)
と自分に言い聞かせ、嫌な気分を払う。

せっかくだし。
お花見して帰ろうかな。
校舎の入口を出る。

そこは一面、桜並木になっている。

本当ならそのまま道なりに左に曲がって校門を出るところを、そのまま真っ直ぐ続く並木道を歩いてみた。

付属の大学の敷地に続く道だ。
< 4 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop