声と性癖
1.先立つものは大事
「高槻さん、社員希望だったよね。」
定例の期初の面談。

高槻結衣《たかつき ゆい》は机の向かいに座っている上司にうなづいた。
「そうですね。」

結衣は身長は平均くらいだろうか、158センチほどだ。
どちらかと言うと童顔、の大きな瞳とサラリとしたロングの髪の持ち主である。

この保険会社に勤め始めてからは2年になる。
今の結衣の立場は契約社員だ。
正社員になれれば言うことはない。

そもそも、仕事内容は、正社員と変わらない内容の業務をしているのだ。

結衣は現在、保険会社で査定と呼ばれる、支払い業務を担当している。
査定というのは、実際に事故が発生した際、契約者にお金を支払う専門の部署だ。

それなりに大変な部署ではあるが、お礼を言われることも多く、やりがいはあると思っていた。
困っている人を助けているという実感もある。

上司が書類から顔を上げた。
「社員、なれるけど、今はSVでお願いするかな。」

ん?エスブイ?
「優秀なSVは少なくて。君ならなれるんじゃないかと思って、推薦しといた。」

えっと…えすぶい、とはー…
「スーパーバイザーだよ。」

それ、コルセンじゃん!

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