終わらない夢
チャプター8
Chapter8 悪夢

近いうちに、雪のもとへ行かなければいけない。翔も一緒だと、危険が及んでしまうから、私ひとりで行こうと思っていた。それなのに。
「うーん……」
「なにしてるの?」
「雪だっけ?の所に向かう準備。丸腰ではいけない」
なんで翔の方があれこれ用意周到なんだろう…。こっそり抜け出そうと思ってたのに。
「あ、優奈」
「ん?」
「雪のもとに行くには、どうしたらいいんだ?目星があったりするのか?」
「ひとつだけ、心当たりがあるの。そこに向かおうかと」
行く方法も、賭けに出る方法しか思い浮かばない。
「鈴を使って、私が雪のもとへ行く。拒まれはしないと思う」
「は?」
「この鈴、相手を呼び出せるんでしょ。なら、応用して自分が飛び込むことだってできるんじゃないかと」
かなり無茶苦茶なのは私もわかってる。でも、そうでもしないと雪とは会えない気がする。
「…それって、人数制限アリ?」
「さあ。やってみないと」
「なら付き合う。一緒に行こう」
本当に、行く気だ。翔の目がそう言っている。
「ありがとう。…本当は私ひとりで試すつもりだったから、深夜を計画してるの。それでもいい?」
「当たり前だ」
「それじゃあ、0時に縁側に居るから。来なかったら、私だけで行くから」
「ああ」

早いもので、時間は刻々と過ぎていく。星空が綺麗に見える。舞台は整った。
すると、黒い影が私の目の前に静かに舞い降りた。目だけ妖しく光っているような、そんな雰囲気だった。
「待たせた」
「ううん。大丈夫。ていうか、何その格好」
「今日は激しく動くと思ってさ。動きやすい格好にしてきた」
なんだかカッコいいような雰囲気はするけど、なんか細長いマントは何なんだろう。男の子ってこういうのが好きなのかな。
「用意はできてる。いつでも」
「…早速、行くよ」
雪を思い浮かべる。まだ知らなかった時の、純粋な笑顔。初めて見た、狂気に満ちた顔。
いま、貴女はどんな顔をしているの?

…辺りが光に包まれた。
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