◆◆    4


 玄関の鍵を開けると、思わずよだれが出そうないい匂いが鼻孔をくすぐる。ここ最近、新山陽茉莉が一緒に住むようになってから毎日だ。

(今日は何だろう?)

 陽茉莉は日々、色々な料理を作ってくれる。
 始めは作らなくてもいいと伝えたのだが、本人が「居候するのだからそれくらいはします。それに悠翔君にコンビニ弁当ばっかり食べさせていてはだめですよ」と力説するので、その後は任せている。
 そして、相澤にとっていつの間にかそれは密かな楽しみになっていた。

「ただいま」

 リビングダイニングを開けると、軽く声をかける。ちょうど食事の最中だった悠翔と陽茉莉がタイミングを合わせたかのように「お帰りなさい」と言った。