マネキン少女
手紙
学校に行くと休憩時間になる度に仲の良い友達と集まって話す。


「ねぇねぇ」
「ん?」
「るるちゃんて好きな人居るの?」


そんな質問をされて、固まってしまう。


私みたいな汚れた女が恋なんてしてはいけない。リアルな現実を目の前にして涙腺が緩んでしまいそうだ。


「好きな人居ないよ……」


こんな私なんかが誰かを好きになるなんて、笑い話でしかない。


「え、居ないの!?」
「うん……」
「るるちゃんの好きな人はヒロ君だと思ったんだけどな……。違うのかぁ……」


何故かユリカが残念そうな表情で、そう呟いた。私はそれを聞いて焦ってしまう。


なぜなら、ヒロくんが気になっているから。


好きだなんておこがましい気持ちは持てないが、近くに居ると目で追って幸せな気分になってしまうのは、ヒロ君が好きだからなのだろう。


私は汚れている__


でも、思うだけなら許されるよね?


好きという気持ちを理解した瞬間、とんでも無い恥ずかしさに襲われた。


「ちょっと!ユリカ!!それは、言わないで!!」
「て、事は好きなんだね……」


この会話が誰にも聞かれてないかをチェックした後にコクリと、頷いた。


「うん。そう……なの。内緒にしてくれる?」
「うん!言わないよ!」



< 8 / 181 >

この作品をシェア

pagetop