契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 改めて連絡をすると言われて連絡先を交換し、一週間が経とうとしている。

 あれから、交換した連絡先からメッセージが入ることもなく、もちろん電話がかかってくることもない。

 アプリ内の友達の欄を出し、確認するように彼の名前を探す。


 これ、観葉植物……?


 桐生七央とフルネームで登録された名前の横、アイコンには何か室内で撮影した植物の写真がアイコンにされている。

 一体、何のために連絡先を交換したのだろうかと思いながら、スマートフォンをソファーの傍らに放り置いた。

 空港で会って、たまたま参加した合コンで再び会って、こんな偶然あるのかと顔を合わせた瞬間驚きで心拍数がかなり上がった。

 桐生さんのほうは別に大した驚きもなかったみたいだけど、飛行機のパイロットなんて仕事をしている人はきっと心臓が強いのだろう。

 そんな程度のことでは動じなそうだ。


『折り入って、君に相談したいことがある』


 だけどあの時、桐生さんはどこか切羽詰まったような空気を発していた。

 だから、普段なら連絡先の交換なんてお断りするところ、つい流されるようにしてスマートフォンを取り出してしまっていた。

 あの時はそうしないといけないような気がして連絡先の交換をしてしまったけど、落ち着いてから考えてみると自分の行動はこれまでの自分を思えば有り得なかった。

 だけど結局、一週間が経つ今、彼から連絡が入ってくる気配はない。

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