昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「は? ちょっとなにを言ってるの? あなたじゃ鷹政さまに仕えるのは無理よ」
「凛さま、酔ってますか?」
 私の顔を覗き込んでそんな質問をする伊織さんに、くすくす笑って答えた。
「酔ってるかは……わからないれす。でも……とってもご機嫌れす」
 ろれつがうまく回らないが、頭はしっかりしているので問題ない。
 また、ビールを飲んだら、右京さんの声が聞こえてきた。
「あの花火なんなんですか? 聞いてませんよ」
なにやら鷹政さんに噛み付いている。
「細かいことは気にするな。それにお金のやりくりはお前の仕事。お前が無能ならしないさ」
 お金で揉めている?
 しかし、気分が大きくなった私は構わず割って入った。
「右京さんて、家令なんれすよね。私、家の家計簿つけてるんれすけど、どうしても毎月赤字になっちゃってえ。いい質屋があったら紹介してくれましぇんか? 女だと舐められてしまって高く買い取ってくれないんれすよ」
「それはいいですが、今話しても明日になれば忘れてしまうのでは? 酔ってますよね?」
 
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