魔王様は攻略中! ~ヒロインに抜擢されましたが、戦闘力と恋愛力は別のようです

「わ、わらわは四人目のイケ、ごほん、聖教会の者に保護を求むぞ!」

 四人目のイケメンが一番話が早そうだから、と、アリギュラは心の中で付け足す。ほかの三人は、いちいちキラキラ笑顔やら口説き文句やら挟んで、一向に話が進まない、気がする。

 ぶんぶんと頷くアリギュラに満足げに微笑んでから、四人目のイケメンは爽やかに後の三人に告げた。

「聖女様のご意向ですので、ご容赦ください。それではアリギュラ様、参りましょうか」

 不満そうなイケメン三銃士の視線をひしひしと感じながら、アリギュラは王子たちの間をすり抜ける。そして、第四のイケメン――名前はまだ知らない――の後を追った。

 大理石の床に、白く精錬な柱。趣としては、宗教寺院といったところか。逃げている時は気を配れなかったが、なかなか大きく、立派な施設であるらしい。

『聖女』の話は施設中に広まっているのだろう。男の後をちまちま追いかけるアリギュラを、たくさんの視線が追いかける。好奇の瞳もあれば、尊敬の眼差しもある。中には感極まって、泣き出す輩までいるときた。
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