JKと幽霊
「ねぇ先生。Fちゃんがまた1人で喋ってるよ?何で?」
「仕方ないのよ。そういう病気の子な の。」

F「違うよ…違う…。ここに、いるんだもん…。このお兄さんがお母さんに会いたいって…。そんな目で…私を見ないで…。」

「見えるならなんで助けてあげないの?」
「そーよ。」

F「だって…変な子って、病気だって言われるから…。」

「君のせいで、おじさん悪霊になってた よ?」
「何もしてないのに成仏できなくて可哀想。」

F「ちが!私は!!みんなと同じに…普通 に……」
お「君に普通は一生やってこないんじゃない?」

F「おじさん!?」

Fは勢いよく飛び起きた。

お「どうした!?呼んだ!?」
F「ハァ…ハァ…夢…?」
お「凄い汗じゃん!!どうしたんだよ?」

男は洗面所にタオルを取りに向かった。

F(嫌な夢…見たな…。)

Fはソファーから起き上がり水を飲むためにキッチンへ向かう。

F(いつ寝ちゃったんだろ…。)
お「もう起きて大丈夫なのか!?」

Fは洗面所から戻ってきた男と目が合った。

お「……?」

少しの沈黙が流れる。その間もFはコップに口をつけたままだった。

F「ブフォ!!!」

Fは急に口から水を吐き出した。

F「おじさん!?なんでここにいるの!?」
お「大丈夫?…いや、出ていこうとしても出て行けなくて…。」

男は申し訳なさそうに頬をかく。

F「出られなかった?」
お「うん。玄関から出ていったのにまた君の部屋のベランダに出たんだよ。逆をやってもそう。」 F「え…。おじさん、地縛霊だったの?」
お「地縛霊?」
F「うん。自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死んだことを理解で きなかったりして、死んだ時にいた場所とか建物から離れないでいる幽霊のことを言ったりするんだけど、もう1つその場所に特別な理由があって宿っちゃってる死霊のことを言うんだけど…。多分、おじさんの場合は後者だよね…。とりあえず、なんでうちに来たのか調べないとだね。はぁ…荷物全部調べるか…。」
お「大丈夫?明日から土日だけど友達と遊ぶ約束とかない?」

おじさんがそう言うと、Fは暗い顔をした。

F「別に大丈夫。」
お「そっか?」
F「まぁ、とりあえずアルバムから調べよっか。」
お「お…おう。」

Fは早速押し入れを探り始めた。

F「荷物が少なくて良かったよ…。」
お「僕は何をすればいい?」
F「テキトーに座ってていいよ。私だけでさがすから。」
お「そ…そう。」

おじさんはとりあえずその場に座った。することもなく、キョロキョロと部屋の中を見回していた。

お(普通の部屋だなー。友達と遊んだりし ないのかな…。それとも最近の女子っ てこんな感じなのかな…。)
F「あの…。」
お「ひゃい!?」

考え事をしていて、Fが目の前に来ていることに気づかなかったため、おじさんは驚き、声が裏返った。

F「ふふっ。あ、飲み物とかいりますか?」
お「え…?」
(笑った…。)
F「いや、さっきタオル持ってたんで、飲み物とか飲めるのかな?って思っただけで す。」
お「そ…そっか。今はいらないかな?」
F「そうですか。喉が乾いたら好きに飲んで くださいね。」
お「あ…りがとう…。」

Fはそう言い残し、また押し入れに戻った。
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