バースデーカード
新が俺の手を離すと同時に、その場に崩れおちていた。


血の匂いが鼻腔を刺激するけれど、鼻を押さえることもできなかった。


やがて痛みが襲ってきた。


体を下から上に貫くような激しい痛み。


「うっ……くっ……」


顔を歪め、体をくねらせて痛みから逃れようとする。


しかし、上手くいかない。


動けば動くほど、痛みは増幅していく。


俺はかすむ視界の中で新を見つめた。


新はさっきまでと変わらない表情で俺を見下ろしている。


意識が薄れていく中、新が事故に遭い、病院に駆け付けた時のことを思い出していた。


『またゲームしようぜ!』


俺は必死で新に声をかけたんだ。


新は一瞬俺の方へ顔を向けてくれた。


全身包帯に巻かれて、痛々しい姿で。


でも確かにあの時新は頷いたんだ。


俺の言葉に、頷いた。


だから、迎えに来たのか?


そう質問をしたかったけれど、声に出す前に俺の意識は完全に失われてしまったのだった。
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